院長からのメッセージ

日の出ケ丘病院 院長  神尾 重則

落合クリニック 院長 神尾 重則

院長メッセージ 「冒険の途上にて」

【はじめに】

 世界の社会情勢は、不透明で不確実のまま、平成29年度を迎えました。グローバリズムとポピュリズム、楽観と悲観の交錯。先の見通しにくい時代にあって、焦点をあてるべきポイントはどこにあるのでしょうか。

物の見方には二つの視線があります。鳥のように高みから俯瞰する~Bird’s eye view~と虫のように地面に這い蹲る~Insect ’s eye view~です。この「鳥の眼と虫の眼」を複眼として、時代の流れを見極めることが大切となります。

ヒマラヤ登山を成功に導くポイントになぞらえながら、私たちが置かれている医療の情勢と課題について言及してみましょう。

 

(1)天候の判断 

予見不能な蛇行を繰り返す偏西風は、ヒマラヤの天候に影響を与えます。これに北極振動などの現象が絡んでくると、天候の予測はさらに難しくなります。この読みを誤ると登山の成功は覚束きません。

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年問題。医療・介護・福祉の構造改革、社会保障費の抑制政策が、迂曲を繰り返しながら進められています。蛇行しているとはいえ、「少子超高齢化」という風の大本には変わりはありません。偏西風も大局的には西から東へと流れています。医療制度の改革は、多少の紆余曲折はあろうとも、この風の流れの中にあることは間違いありません。

病院のサバイバルには、最新の情報を基に風向きを見極め、地域の医療を支えるという使命を持ち続けることが枢要となります。

 

(2)ルート工作

安全で安心できるベースキャンプ建設は、上部へとキャンプを進めるための拠点として肝心となります。アイスフォール(氷瀑)などの難所では、ルート工作が主点です。細心の注意を払いながら、クレバスや氷雪の壁に梯子をかけ、核心部にフィックスザイルを張って行きます。

安定した病院の経営にむけた組織の変革と案件への挑戦。そのためには、医療機能の強化と充実、人材の確保のための取り組みが課題となります。そして、「病院の安定と発展」は「患者さんの満足と地域の信頼」に連鎖するはずです。

日の出町の地域医療の拠点として、「治す医療」のみならず、「地域を支える医療」と「地域を診る医療」が求められています。多職種と連携する機動性をフル稼働させ、新しい時代に適した活力を養いながら、目標を確認し修正してゆくというルート工作を続けなければなりません。

 

 (3)動機

「なぜ山に登るのか」という動機は、ヒマラヤ登山成功のための鍵となります。なぜ登るのかと問うことは、すなわち、なぜ生きるのかと問うことに他なりません。

植村直己さんは、五大陸最高峰登頂や北極点犬ぞり単独行などに挑戦した冒険家です。「冒険心は誰でも持っている。自分を駆り立てるもの。それを一生懸命やる。そういうものが冒険の一つではないか。そして夢を抱くとき人は輝く」。面映ゆげに、そう語っていた姿を思い出します。

病院で働いているとき、何をしている自分に意味や価値を感じることができるか。医療はさまざまな職種のスタッフによって支えられています。その一人ひとりの気持ちの中に、”one for all、all for one” という機運が生まれたとき、病院とスタッフの深いコミットメントが芽生えるのだと思います。

 

【おわりに】                  

「着眼大局、着手小局」という言葉は、「鳥の眼と虫の眼」に重なります。先ず全体を見渡して、その上で目の前の問題に取り掛かる。このことは、ヒマラヤ登山のみならず病院の戦略にも通じます。先を見通す眼と細部に行き届く眼の焦点を、ほどよく合わせることは、成功への一里塚となります。

「心から人の役に立とうとして、結果として自分のためにもなるということは、人生における最も美しいお返しである」。R.Wエマーソンの章句は、医療に携わる人のモチベーションに関わるメッセージでもあります。こうした視線を忘れずに、「地域から信頼され、心が癒される病院」作りに、さらなる一歩を進めたいものです。

 

 平成29年3月記

 

院長挨拶 「冒険の始まり」

日の出ヶ丘病院を囲繞する丘陵は春容があふれています。鴨の羽色のように明るんだみどりが萌え、葉隠のこずえからは鶯のさえずりがこぼれ出て、心に潤いを与えてくれます。 

この4月より病院長に就任いたしました。私にとってはヒマラヤの未踏峰に挑戦するような心持ちです。かつて8000m峰にも挑戦した「山屋」の端くれとして、かたちを変えた冒険のような気がしています。

冒険とは何か。自分なりに定義すると「危険と未知の二つの要素を、たゆまぬ努力と自由な意思で、自らの知力と体力と技術を駆使して、克服してゆくこと」であると思います。この文脈で捉えると、30歳でエベレスト大滑降、80歳でエベレストに登頂した三浦雄一郎さんは、すぐれた冒険家であるといえましょう。

彼のようなヒマラヤに挑戦するクライマーが抱く「成功への秘訣」。それを端的にあらわすとMVP、最高殊勲選手を意味するMost Valuable Playerの頭文字となります。すなわち、M(モチベーション・motivation):なぜ山に登るかという動機、V(ヴィジョン・vision):高地順応とルート工作における行程の最適化、P(パフォーマンス・performance):最高の力を発揮できるコンディションの維持。この3つが成功のための要素となるわけです。 

MVPのイメージはそのまま病院の運営にも当てはまります。 医療に携わる動機と理念、病院の進むべき方向と目標の設定、どのような立ち位置で病院を活性化してゆくか。この3つは病院の将来にとって重要なトライアングルであると考えます。

少子高齢化や財政状況の悪化に伴い、医療を取り巻く環境は一段と厳しくなっています。一方で医療のニーズは多様化し、地域における医療と介護の新たなるシステムの構築や在宅・終末期医療のあり方が問われています。こうした環境の中で、医の原点に返り患者さんと真摯に向き合うことが、あらためて求められているのだと思います。

BC(ベースキャンプ)の建設を経て、これから上部に向けての登山活動が始まります。BCから先には、クレバスやアイスリッジ、強風やホワイトアウトの世界が待ち受けているはずです。皆さんと共にザイルを結びながら励まし合い、山頂でかたい握手ができればと願っています。眇眇たりとも一歩一歩、高みへの歩を進めてゆきたいと思います。

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地域に根ざした親しみやすく、信頼される病院を目指しています。

地域医療の最前線に立つホームドクターとして、地域に密着した診療を行い、大学病院や近隣国公立病院とも連携して、安心感ある医療の実践を心掛けています。お気軽にご相談下さい。

  1. 科学的根拠に基づいた適切な医療と健康づくりの指針の提供
  2. インフォームドコンセント、セカンドオピニオン、個人情報保護の重視
  3. 地域の保健・福祉・文化活動の充実に資するための情報発信地としての活動と交流

 

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