2019年4月30日

院長 神尾重則  「新しい時代への旅立ち ~令(うるわ)しく和(なご)やかに生きる~」

 

  初春の令月にして、気淑(よ)く、風和らぎ、

梅は鏡前の粉をひらき、蘭は珮後(はいご)の香を薫らす

 

「令和」の典拠は、万葉集の第5巻、梅花の歌32首の序文にあるとされます。大伴旅人が大宰府で宴会をひらいて、梅花を詠んだ情景を記したものです。

元号は、時代を区切り、連続性の中で過去と未来を繋ぎ、その時代を象徴する言葉です。大化の改新、文永・弘安の役、明治維新、大正デモクラシーなど、その時代の香りが漂ってきます。 西暦は、時代経過の記号であり、文明と利便性を有します。一方元号は、日本人共通の時代感覚であり、文化と精神性を含んでいます。西暦と元号の両方を上手に使う智慧を持ち続けたいものです。

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梅の花32首が詠まれたのは天平2年(730年)、薬師寺東塔が建立されています。この天平時代は仏教美術の黄金時代。聖武天皇は東大寺盧舎那仏の造立、国分寺の建立を進めました。一方で、疫病(天然痘やハンセン氏病)が流行し、光明皇后は、病人と孤児の救済の為に、施薬院と悲田院を設立し、自ら看護に当たられたといいます。天平の時代は災いの多い時代でもあったわけです。

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令和に横たわる現実にも目を向けねばなりません。一つは、グローバル・リスクです。日本の政治と経済は、国際情勢の変動に左右されて不確定要素が多くなっています。モノ・人・通貨が自由に流通するグローバリズムのデメリットの顕在化です。二つは、巨大災害のリスクです。阪神淡路大震災、東日本大震災などにつづく、南海トラフ地震や異常気象による災害が懸念されます。三つは、少子高齢化のリスクです。いかなる先進国も経験したことのない新たな社会が待ち受け、不透明な閉塞感が漂っています。こうしたリスクに耐えうる社会の構築が、令和の時代に求められる課題となるに違いありません。

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わが園(その)に 梅の花散る ひさかたの

天(あめ)より雪の 流れ来るかも 

梅花の32首のうちの大伴旅人の歌です。旅人は、雅やかな文人であり、ますらおの武人でした。さらに、「私は酒壺になりたい」とまで詠う酒豪でもありました。旅人の万葉の時代をしのびながら、今夜は熱燗で寿(ことほ)ぎの一献を傾けたいと思います。

「梅は寒苦を経て、清香を発す」といいます。冬の厳しい季節を耐え抜いて、春に香ばしい花を咲かせる。梅の花になぞらえて、平和で豊かな令(うるわ)しい時代への、新たなる挑戦に向けて、夢を託したいものです。

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