2018年6月25日

神尾重則院長 「iPS細胞の臨床応用に向けて~山中先生の講演から~」

 今年の日本呼吸器学会・学術講演会のテーマは、「今日までの軌跡と確かなる未来予想図」というもの。2012年にノーベル賞を受賞した山中伸弥先生(京都大学iPS細胞研究所所長)が、基調講演を行いました。

 山中先生の父君は、C型肝炎ウィルス(HCV)による肝硬変で、30年前に亡くなったそうです。当時は原因不明で治療法はありませんでした。その時の臨床医としての無力感が、研究を志す動機の一つになったといいます。

 今ではHCVは治る病気になりました。1989年にC型肝炎の原因ウィルスが判明、2014年には特効薬が誕生し、一日1回、3か月の服用で、ほとんどの患者のウィルスが消失するようになりました。これは医学の進歩ではありますが、実は2つの大きな課題を物語っています。

 一つは時間。原因ウィルスが特定された後、治療薬が出来るまで25年掛かったことです。もう一つは費用。一錠5万5千円、90日で500万円を要するということです。iPS細胞を使った研究では、この時間と費用の問題をクリアするために、臨床応用への時間の短縮と費用軽減を目指しているといいます。

 iPS細胞を用いた再生医療は、2014年に「加齢黄斑変性」に臨床応用されました。理研の高橋教授のチームが、世界で初めて手掛けたものです。術後経過は良好ですが、実用面での課題も明らかとなりました。患者本人の細胞から網膜の細胞を作り出すのに一年掛かり、iPS細胞の品質管理に数千万、治療のトータルで一億くらいの費用を要したのです。

 こうした問題解決のため、再生医療用の細胞ストックを作成して備蓄を進めながら、網膜以外でも、心不全、パーキンソン病、脊髄損傷などの領域で、臨床応用に向けた研究が進められています。

 iPS細胞が発見されて10年。山中先生は、「患者さんに一日も早く、出来るだけ安価で革新的オプションを提供するために、研究をさらに発展させたい。」と講演を結ばれました。アスリートでもある先生には、これからも大いに走り続けて頂きたいと思います。

 

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